事例紹介

2021/08/16事例紹介

Case3:不動産経営の引継ぎのための信託

~息子が帰ってきて不動産を引き継ぐまでは、妻に中継ぎさせたい~

認知症になっても自宅を売れるようにしておきたい

親の想い

・父は、賃貸アパートを複数所有して、経営してきた。都心から離れた場所であるが、何とか空室率を抑えて運営してこられた
・昨年、自宅の階段から転落し、頭を打つなどした影響からか文字を書くのにも不自由を感じている
・アパートオーナーとして管理会社からの意向確認に対応しなければならないが、判断力が落ちてきており、また億劫にも感じてきている

子の心配

・賃貸経営についての父の大変さは子どものころから見ているので、よく分かっている。その分、最近の父の様子を見ると、しんどそうに見える。何とか自分たちがしてやれることはないだろうか
・長男も長女も、現在は、親の自宅から離れたところに住んでいるため、今すぐ同居することはできないが、将来事情が許せば同居して父母を助けたい

信託しないと、こうなるかも

父(オーナー)の認知症の進行により、入居者との契約交渉、管理会社への指示、修繕工事の発注、修繕費用の借入等ができず不動産経営に大きな支障が生じる
→賃貸経営が成り立たなくなるおそれ

長男が同居できる時期が来たとしても、すでに父と母の認知症が進行していたら、子は事実上の手助けまでしかできなくなる
所有者のサインを求められる場面では、本人の意思がない限り、代筆による対応はできない

信託すると、こうなる

母が父に代わって、所有者として入居者との契約交渉、管理会社への指示、修繕工事の発注、修繕費用の借入等ができるようになる
→賃貸経営を継続させる道を開ける

当初は、母に任せておき、同居できる時期が来たら、長男が母を引き継ぎ、所有者となる
→所有者のサインを求められる場面では、長男が所有者としてサインすることができる

信託のおおよその内容

信託のおおよその内容

①父と母との間で信託契約を締結する
②信託するのは、賃貸アパートである
③受託者たる母は、アパートの修繕管理や賃貸等を自ら行う
④父は受益権に基づいて賃料を受け取る
⑤父死亡後は、母が受益権に基づいて賃料を受け取る
⑥長男が同居を始めたとき、母が認知症を発症又は死亡したときは、長男が受託者の役割を引き継ぐ
⑦父母の死亡により、信託を終了し、アパートを子どもに引き渡す。売却してお金を分けることもできる

※こちらの事例は、実際に関与した実例をベースに、プライバシーの保護や説明の便宜等のためにアレンジを加えたものです。

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