2021/08/16事例紹介
Case8:家業転身のための信託
~家業を不動産賃貸業に転換したい、高齢者施設にいる親に代わって手続きを進めたい~
親の想い
・祖父の代から卸売業を営んできたが、妻が他界した後は、高齢者施設に入所していて、店は閉めている
・店の周りも同じように卸売業等を営んできたが、ほとんど賃貸マンションに建て替えられてしまっている
・卸売業を続けることは難しいと考えていたことから、息子には他所に就職させた
・店のある場所は、オフィス街や大学から近いため、店の建物を取り壊して、賃貸マンションにしたら、収入源にもなるのではないか
子の心配
・父の意見に賛成である。土地の有効活用をしたい。
・父が高齢者施設に入所していて、外出したり、施設内で関係者と面談したりするのが非常にしにくい。建て替え工事の手続きが非常にしにくいし、父の負担が大きくなってしまうのが心配。
信託しないと、こうなるかも
父が現在土地と建物の所有者であるため、父の意思決定や署名がないと、借り入れもできないし、マンションの建築計画も立てられない
→計画が頓挫するおそれ
父が借入人かつ注文主になるため、父が契約手続きをする必要がある
→父の負担が大きい
信託すると、こうなる
長男が建物と土地の所有者になるため、計画については、長男が権利者として当事者となり、進めることができる
→計画の遂行が滞らずにすむ
取り壊し、建て替え、借り入れは長男が行うため、父はこれらの管理から解放される
→父の負担を軽減できる。マンション完成後、父は、賃料収入を得られる立場に立つ
信託のおおよその内容
①父と長男との間で信託契約を締結する
②信託するのは、土地と建物である
③受託者は、建物を取り壊し、会社(同族会社)に土地をマンションの敷地として賃貸する
④会社は、金融機関から建物建築資金の融資を受ける
⑤会社が建物を所有し、賃貸して家賃収入を得る
⑥受託者は、会社からの地代から受益者に生活費等を支払う
⑦父が死亡後は、長女と長男が引き続き地代収入からの金銭の支払いを受ける。
※こちらの事例は、実際に関与した実例をベースに、プライバシーの保護や説明の便宜等のためにアレンジを加えたものです。